L/Journal
Collaboration Works
Vol.07

Flower Art Pavilion

Flower Artist

宇田陽子

2023.05.16

花の持つ繊細さと生命力を
自由な発想でアート作品に

Fashion×Flower×ArtをコンセプトとするhueLe Museumでは、花をテーマにしたショップイベントを数多く行ってきた。中でもとりわけ大きな反響を得ているのが、GINZA SIXでの「Flower Art Pavilion」展(2023年5月1日~21日)。プロデュースしたのは、花の生命力を独自のスタイルでアート表現するlogi plants&flowersのフラワーアーティスト宇田陽子さんだ。
これまでもhueLe Museumでは幾度もlogi plants&flowersとのコラボレーションを行なっているが、今回はアーティスト宇田陽子の世界観をフィーチャーした特別イベント。コンセプトやテーマ作りからコンテンツ構成、ディスプレイや空間作りまで宇田さん自身が直接ディレクションした贅沢な企画だ。
「普段から目に見えるものすべてに花を咲かせてみたいという願望があって、いつも頭の中で妄想していたんです。(笑)今回それをやっと形にすることができました。
アート作品創作に向き合うときのコンセプトは、『何事にもとらわれず自由な発想でココロニノコル新しいカタチに』。このイベントや作品で、みなさんに自然の造形物の新たな美しさを発見していただけたらうれしいです」(宇田さん)

ART ROOM

ショップの壁面や店内のアートルームという展示スペースに、宇田さんの手によって、さまざまな花たちが飾られた。類稀な表現力と卓越したバランス感覚で、ショップ全体が美しいボタニカル柄のドレスを纏ったかのような、華やかさと幸福感に満ちた空間。流木をアップサイクルしたアート作品や花の生命力をテーマにしたアートフォトもディスプレイされ、生態系や悠久な時の流れも感じさせるような、みごとなフラワーインスタレーションが完成した。
「本来、花が咲くことはない場所に花を咲かせる作業は、自分が花人と化してしまうほど無我夢中になれるもの。これからもいろいろなものに花を咲かせてみたいという思いがいっそう強くなりました」(宇田さん)

life is.

アートルームにはlife is.の陶芸作品も展示された。life is.はlogi plants&flowersが手掛ける、サステナブルな発想から生まれたプロダクトシリーズ。装花などの仕事で使用が終わった植物や花を原料に灰釉薬を制作、それを使って陶芸家・北湯口敦氏とのコラボレーションで創作された器たちだ。今回のイベントには、5種類の釉薬を使った作品が並んだ。そのうちのひとつ、カーネーションの釉薬は、母の日需要が高まる際に規格外などの理由で大量に廃棄されるカーネーションをlogi plants&flowersが買い取り、リユースしたものだそう。
「同じ釉薬を使っていても、配合の割合や、掛け方、土や窯の温度で色合いはすべて違ってくる。だからlife is.のお皿はすべて一点物です。そして、私たちが日頃使用する花材や関わらせていただく企画も、すべてが二つとないもの。みんな違ってみんな良い。life is.のプロダクトからそんな思いを感じていただけたらうれしいです」(宇田さん)

PAVILION, DRIFTWOOD FLOWER VASE

植物が放つその瞬間の美しさをずっと見つめていたいという思いから、宇田さんのアートワークとしてスタートしたテラリウムシリーズPAVILION!。その作品たちも今回のイベントにラインナップ。オリジナルの特製ボトルの中にはプリザーブドフラワーやドライフラワーを主役に宇田さんならではのアートコスモスが構成される。
また今回、初出展となるのが流木を使用したフラワーベースたち。自然の流木の形を活かしながらペイントを施すことで、アート感あふれる花器が生まれた。
「自然が生み出した流木たちの造形美に感動したことが創作のきっかけです。自由に。繊細に。大胆に。新たな命を吹き込みました」(宇田さん)

ART PHOTO

宇田さんがアートディレクター兼フラワーアーティストとしてクリエイティブワークに参加したアートフォト作品eternalも今回のイベントで大きな話題に。撮影を担当したのはフォトグラファー大辻隆広さん。ファッション誌やアパレルブランドのビジュアル作りで何度も一緒に仕事をしてきたというお二人、「大辻さんとは『美しい!』と思う瞬間や、心地いいと思うバランス感覚が通じ合う」と宇田さんは語る。植物の持つ生命力が、彩色や配置、陰影、対比などの効果で、リアルとクリエイティブが融合したアートピースへと昇華している。
「自然の造形物自体の個々の美しさに敵うものはなく、花や植物の美しさに私は魅了され続けています。異なる種類の植物の掛け合わせや、ペイントすることにより生まれる意外性から、さらに無限の可能性が広がるのを感じます。
植物や花って儚くて繊細なイメージを持たれがちだけど、実はとても強い生命力を持っている。そういう花の強さやたくましさも表現し続けたいと思っています」(宇田さん)

宇田陽子さんの写真

宇田陽子

Yoko Uda

フラワーアーティスト
角浩之氏・野村五月氏に師事。04年に独立しフラワーコーディネーターとして活動。06年西麻布にconcept shop『plants&flowers』をOPEN、その後09年 表参道に『logi plants&flowers』をOPEN。2014年、生花が放つ、その時、その瞬間の美しさをずっと見つめていたい!という思いから、ART WORK として新たなブランド『PAVILION!』が誕生。 "ココロニノコルハナ"をコンセプトに花そのものの強さと、時にはその毒々しさもストレートに表現するクリエイターとして、空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花を幅広く手掛けている。