L/Journal
Collaboration Works
Vol.11

Fluid Art
on Flower Vases

artist

madoka

2023.11.24

春のコラボに続く第二弾!
フルイドアートが「フラワーベース」で登場

2023年春、hueLe Museumではフルイドアートを手がけるアーティストmadokaさんとのコラボレーションを展開した。ショップ店頭やONLINE SHOPで展示販売されたフルイドアートのキャンパス作品は大好評で、多くの人たちに手に取っていただけた。

madokaさんのフルイドアートは、単に絵の具の流れに任せるだけのアートではない。偶然に生まれた流動的な絵柄に対し、madokaさんはイメージを膨らませ、それを投影しながら、色を流し足す作業を重ねていく。さらに、大きな魅力になっているのが、截金(きりがね)の装飾。これは、仏像や仏画の装飾技法で、線状に切り出した極細の金箔1本1本を作品に貼り付けていくという、飛鳥時代から伝わる伝統の技。madokaさんはこれを仏師である父から教わった。色彩が描く偶然の表情に、madokaさんのクリエイティブと伝統的な技法がミックスされ、唯一無二の魅力を持つフルイドアートは誕生する。

現在、hueLe Museumとmadokaさんのコラボレーション第二弾が開催中。今回のテーマは『フラワーベース』。キャンバスという平面から、フラワーベースという立体アートへの挑戦だ。11月8日から12月5日まで開催中の京都高島屋hueLe Museum POPUPイベントで、約30点のフラワーベースが展示販売されている。
イベント前、創作も最終段階を迎えていたmadokaさんにお話を伺った。

縁のある京都に導かれ
新たなアートへの挑戦を決意

「立体でフルイドアートをやってみたいという気持ちは以前からあって、時々試作はしていたんです。家にあったガラス瓶や拾ってきた石に、絵の具を流してみたり。たまたま、その動画をインスタのストーリーにアップしたら、hueLeMuseumディレクターの土井さんからすぐに連絡があって。(笑) 『これ、フラワーベースでやりたいです!』って言っていただけた」

まだどこにも未発表だった立体フルイドアート、「もう少し自信を持ててからにしたほうがいいかな、という不安」も多少あったそう。

「でも、今回の出展場所である“京都”にもすごく縁を感じたんです。私は、今は大阪で創作活動しているのですが、実は以前京都で働いていて。しかも京都高島屋のすぐ近くだった。金箔素材を購入するのも京都の問屋さん、父の仕事も昔から京都に深い縁があって。いろいろなご縁とタイミングがバチッと合った気がして、『やるしかない!』と決意できたんです」

困難続きの立体創作、
ひたすら絵の具を流す日々

京都との縁に背中を押されたmadokaさんだが、立体フルイドアートの制作は困難を極めた。

「流す絵の具とか、施す截金とかは、キャンバスと同じ素材や方法で挑みました。最初に苦労したのが素材選び。ガラス瓶を使ってみたんですが、絵の具や金箔の浮きや剥がれが出てきてうまくいかない。陶器のものを何種類か用意して、何度も試して。やっと、うまくいく素焼きの器に出会えた。
流す作業も、試行錯誤の連続でした。立体になると流れかたがイレギュラーで本当に難しいんです。フラワーベースを縦にして上から流せば、安定はするけど、模様が一定で柄の面白さが出てこない。何度も実験した結果、独自の装置を手作りして、それを使って流す方法を編み出して。(笑)

それでも、平面のようにはコントロールできず、絵の具を流す作業を果てしなく繰り返したそう。

「自分の中で作ったイメージに近づくように、絵の具をひたすら流し足して。あきらめず、納得いくまで流し込んで作品づくりしようと決めていたのですが、想像以上に根気のいる作業。その上、截金細工も立体に施すのは難しくて。そこも本当にたいへんでしたね」

インスピレーションの源は、
自然や天体の美しさ

いくつものハードルをクリアして、今回完成したフルイドアートのフラワーベースたち。ポジティブでパワフルなその色彩に心を奪われる。それぞれの作品が個性的で、まるで木星のようだったり、地層のように見えたり、炎やマグマを思わせる柄だったり、波が砕け白く泡立つ海のようだったり。どの作品も、モダンでグラフィカルでありながら、そこに自然の力強さのようなものが漂う。

「自然の圧倒的な美しさみたいなものに、ずっと憧れています。そういうものや、そこにある力のようなものを表現したいなっていう思いがあって。常にインスパイアされるのは、自然の風景や、海の流れ、天体や地層といったものなんです。
ただ、今回はテーマがフラワーベースだったので、ちょっと迷う部分もありました。花を生けるためのものなので、実は、最初は抑えめの色で作っていたんです。でも、それだとやっぱり私らしくない。だから一旦フラワーベースというのは忘れて、私らしい作品にしようという思いを優先して創作しなおした」

そうして出来上がったのが、色彩のポジティブなパワーに満ちた作品たちだ。

使う人の感性と共鳴しながら、
日常の中でアートは育つ

「出来上がったものを見て思ったのは、『これにお花さしたら最強!』ってこと。このフラワーベースを買ってくれた人が、自分で選んだお花を生けることによって、そこにまた新しいアート作品が生まれていくのが想像できて、それはすごく楽しいことだって思えた。私の作品が、その人の感覚次第でどんどん違うイメージでその人の生活を彩れるって素晴らしいな、っていう新しい気づき。この機会をいただけて、本当にありがたいなって思いました。
今後、フラワーベース以外にも“日常で使えるもの”を創作していきたいと考えているんです。今回のコラボレーションが落ち着いたら、まずはフルイドアートで照明のシェードづくりに挑戦してみようかなと思ってるところです」

hueLe Museumのショップに立ち寄ってくれるいろいろなかたを想像しながら、時間をかけて今回の作品づくりをしたというmadokaさん。一点一点まったく表情の違うフラワーベースたちの中から、自分の感性に響く作品をぜひ見つけてみてほしい。そして、そのフラワーベースとのコラボレーションで、花とアートのある自分らしい時間に出会っていただきたい。

madoka

1986年 大阪府生まれ
仏師である父から影響を受け、20歳頃から絵を描きはじめる。2011年に父から伝統技法の截金を教わり自身の作品にも截金を取り入れはじめる。2014年からは父の作品(仏像)の截金部分もサポート。2019年初めてアートフェアに出展、翌年大阪のギャラリーで初の個展開催。その後も精力的にアートフェアやグループ展などに参加。2024年には、アートスクールでフルイドアートの講師を務める予定も。

Photographs / Videographer and editing : yoichi (TAKASE OFFICE Inc.)
Editor : HIROMI KATAYAMA