Mixhibition

“TRUE COLORS”
Photography_Gori Kuramoto(Pygmy Company) Styling_Keiko Watanabe (KIND) 
Hair&Make-up_Naoyuki Ohgimoto Model_Emilia  Composition&Text Eri Umeda (GISELe)

Mixhibition

“TRUE COLORS”

2021 F/W Style Sample

いつもにましてカラフルな高揚感を求めたい今季。
赤1色とっても真紅や朱赤でイメージが異なるように、どんな色味をまとうか、どんなアイテムでまとうかがスタイリングの明暗を分ける。
そんな色味のバリエーションを考慮した上で、必然的に整う配色や質感が色にもたらす影響を考察。

Issue#17

SOFT & WARM

「暖色はソフトマテリアルで」

暗くなりがちな冬の装いに、
華やかさをもたらすウォームカラー。
ときに印象を強く残す色味も、
ニットやウールなどやさしい素材が
発色をやわらげてくれる相愛関係。
色の微差によって果たす役割を考えながら、
つつましき暖色スタイルをクリエーション。

COLOR 01

「余白をうめる高める色」

シック:大胆さ=9:1でうまくいく高発色

縦に落ちるシルエットが、ノーブルかつエフォートレスなムードのショールカラーコート。すそからのぞかせた凛としたパープルの潔さが、硬派な印象に高揚感をもたらす大人の気分転換。

まるで大判ストールを肩からかけたような、包み込むシルエットのコート。ウールを原料にしたリバー素材の上品さに対して、ダブルフェイスジャージー素材のふっくらとしたパンツでややカジュアルさも加味。ロング&リーンの重みに対して、ブーツカットの抜け感を利用。

COLOR 02

「赤いニットでラクをする」

ブラウンをキレイに終わらせないおだやかな赤

凝ったスタイリングをしない方が、かえってサマになる赤ニットの特性。味わい深い赤は色味を際立たせるより、似た性質を持つ深いブラウンで濃厚に仕上げることでお互いのニュアンスを高め合う相互作用が働く。

ウールのコード糸でざっくりと編まれたニットは、ローゲージながらキレイな発色。レイヤードデザインのモードなパンツの、温度も気分も上げてくれる。

COLOR 03

「なつかしくも凛々しい」

ひかえないイエローを落ち着かせるツイードの妙

品のいいイエローを、ツイード素材でレディな佇まいへと導くセットアップ。素材のもたらすクラシカルな気質も、色味の華やかさゆえに落ち着きすぎないという逆説的な関係性。

様々な意匠糸やスパンコールを織り込んだ、英国LINTON社の表情豊かなツイード素材のセットアップ。品性を保つツイードのイメージを裏切る、ブルゾンのフロントジップや黒リブのプレイフルなデザインが印象的。イレギュラーヘムが揺れるスカートとの相性は言わずもがな。

COLOR 04

「黒に映えるで考える」

ブライトピンクはマイルドに見せる上質素材で

ときに黒とのコントラスト主張しすぎる鮮やかなキレイ色。色味のトーンをひかえめに見せてくれるしっとりとしたカシミア素材なら、ピンクの糖度をおさえつつ黒にもうかずになじむ。いつもなら少々気後れしそうな強い色に、手を出すための軸にもなる考え方。

密度の高いざっくりとしたニットに対して、スカートはシアーなチュールメッシュ素材で軽妙さをキープ。2重織の独特なハリとふくらみが、単調なニットのシルエットにリズムを与えてくれる。

COLOR 05

「温度を上げる質感ありき」

知的なネイビーがほころぶ
“ふわふわ”としたヴィンテージカラー

正統派なネイビーを体現するような、チェスターコートとパンツの硬派なIライン。そんなきまじめさからの脱却をはかるように、対照的なマスタードカラーのモヘアニットを効かせた正攻法。寒々しくなりがちな冬のスタイリングの、血色を上げてくれる。

上質なモヘア糸を贅沢に編み上げたニットは、ルーズフィットなシルエットゆえに起毛素材ながらもどこか端正な表情。まるでヴィンテージのような、味わい深い発色も差し色にふさわしい趣。

COLOR 06

「さし色としてのニット」

MA-1の無骨さを一掃する目が覚めるようなオレンジ

ニット素材ゆえのやさしさと、ハイゲージゆえの発色を両得したカーディガン。カジュアルさと女性らしさを併せ持つ色味だけに、メンズライクなアイテムの着方を幅を広げるきっかけに。

MA-1とボアライナー、さらにロングニットカーディガンがレイヤードされたコンビブルゾン。MA-1をクロップト丈にし、着丈をアンバランスに仕立てることで、モードな遊び心が加わるデザイン。

COLOR 07

「キレイめなパステルの効能」

甘いピンクの糖度をおさえる美形アウターのつつましさ

すっきりとしたノーカラーコートの身頃にドレープを効かせた奥ゆかしいデザインを、キレイへと導く淡いピンク。ウール素材のやや白みを帯びたトーンが、暖色ながら清々しいへと印象操作。

白の延長のようなピンクゆえ、モノトーン的に黒を合わせても色味が浮き立ちすぎない。アウターは付属のベルトでウエストマークすると程よいメリハリが生まれる。

COLOR 08

「メンズライクに親しみが持てる」

ブラウン系のふっくらとした毛並みに包まれたい

ニット×スラックスのマニッシュな定番こそ、ニットの色味と質感が印象を左右する。オレンジやブラウンを織り込んだ複雑な色味を表現した毛足感のある独特な風合いのニットなら、ハンサムながらあたたかな人柄にも寄り添える。

ニットのぬくもりに対して、パンツは光沢のある白で都会的な抜け感を。イタリアの高級ヤーンメーカーゼニアバルファ社の上質な糸を使い、ニットにありがちなほっこり感とは無縁。