Mixhibition

“TRUE COLORS”
Photography_Gori Kuramoto(Pygmy Company) Styling_Keiko Watanabe (KIND) 
Hair&Make-up_Naoyuki Ohgimoto Model_Emilia  Composition&Text Eri Umeda (GISELe)

Mixhibition

“TRUE COLORS”

2021 F/W Style Sample

いつもにましてカラフルな高揚感を求めたい今季。
赤1色とっても真紅や朱赤でイメージが異なるように、どんな色味をまとうか、どんなアイテムでまとうかがスタイリングの明暗を分ける。
そんな色味のバリエーションを考慮した上で、必然的に整う配色や質感が色にもたらす影響を考察。

Issue#18

REFRESH

「鮮度のいい配色の中で」

ありきたりな配色ではもう満たされない。
とはいえ奇抜さがほしいわけでもない。
色の色味や質感によるわずかな発色の違いを味方につけて
どこか目新しさを感じる配色提案。
モノトーンにワントーン、カラーブロック。
ステレオタイプに陥りがちなカラーコーディネートが
めざめるきっかけに。

COLOR 01

「くすんだ色でカラーブロック」

対抗色同士もおだやかになじむ
あいまいさゆえのやさしいムード

枯れたバラをイメージしたローズグレーとミリタリーカーキの中間色という、どこかまろやかな印象をまとったグレー。流れるように忍ばせたつややかなピンクベージュのテーパードパンツが、重厚なコートの重みを逃す役割。

ジェンダーフリーで着用できる、セミダブルのチェスターコート。カシミア混のウール素材が、しなやかですっきりとした風合いを実現。首元にハンサムなボリュームをもたらすフードは、取り外しできるのも嬉しい。

COLOR 02

「首から上でバイカラーを創生」

高発色が飽きないために
“のぞかせる”というテクニック

あざやかなピンクニットの、首・手首からのぞくハイトーンのグリーン。配色自体は奇抜ながらも、タートルネックで微量に効かせるという手段に興じれば食傷気味なカラーニットに再び袖を通すきっかけに。発色のいい色味も、ニットなら落ち着くという効果を利用。

イタリアの高級ヤーンメーカー・ゼニアバルファ社の糸を2種類使い、独特の毛並みを表現したニット。身体が泳ぐルーズなサイズが、かえって女性らしいフォルムを形成。

COLOR 03

「柄という名の新たな配色」

美形なドレスに「いいクセ」を出す
ベージュ系のレオパードを投入

それだけでインパクトをもたらす配色レオパード柄をとりいれることで、シンプルなシャツドレスを「おとなしい」だけで終わらせない。総柄もブラウンやグレーのニュートラルカラーまじりなら、奇抜に見えずリアリティのあるバランスに。

モード感のある色味ながら、毛足の長いシャギー素材が強気な柄を肌なじみよく見せてくれるロングスカート。流れるようなドレスのAラインからチラリと見せて、奥ゆかしさを維持。

COLOR 04

「さし色こそ“好き”を理由に」

コンサバなネイビーに一石投じるひと目でひかれるオレンジ

ハーフコートにニットパンツのネイビーワントーンが埋もれない、目の覚めるオレンジという差し色。強い色ゆえに瞬時に印象が変わっても、間違いなく決まる高発色で手堅く。

やや透け感のあるハイネックニットは、発色の美しいモヘアをルーズに編み上げたゆるめシルエット。今季らしいショート丈とゆったりとした袖のバランスが絶妙なデザインで、大小さまざまに編み込まれたダイヤ柄がどこかクラシカルなムード。

COLOR 05

「カジュアルのきっかけをうむ モノトーン」

“モノトーン=硬派”をくつがえす
白黒ついたラフな素材

プレーンなスエットにジョガーパンツ、さらにダウンジャケットをはおったラフな装いも、モノトーンで仕上げることでどこか品性を感じさせる色の効能。パンツはボア素材という意外性で、アイテムすべてを異なる質感に。

ダウンジャケットは、合繊アウターにおいて世界最高峰と言われるイタリアLOMONTA社のマイクロファイバーポリエステル素材100%で、非常に軽くソフトな風合い。ノーカラーのすっきりとしたシルエットが、スポーティなジョガーパンツとの組み合わせもどこかシックに見せてくれる。

COLOR 06

「モノトーン軸で発想する」

ピンクの糖度を控える黒と白の凛々しさ

糖度の高いピンクで仕上げたジャケットを、白ニットに黒パンツという整然とした上下で整える手法。どこかキレイにまとまった印象ながらも、カラーアイテムとなじみのいいデニムが程よくカジュアルダウン。

曲線的なフォルムが女性らしいPコートベースのジャケットは、シンプルなカッティングながらダーツやタックで立体感を出した凝ったディテール。デニムのワイドシルエットと共に、ボリュームを楽しみたい。

COLOR 07

「流れの良さに身を任せる」

縦に落ちるあざとさで
白とベージュの“単なるキレイ”を回避

受け入れ幅の広い配色だから、無難なスタイリングではつまらない。サイドスリットがボリュームをうむベージュアウターに、そぎおとす白のタイトスカートを忍ばせて流れるようなフォルム形成。さらにベージュのブーツで、あいまいな配色の良さを堪能。

印象がぼやけがちなベージュアウターを、モードに寄せる白パイピングも効果的。イタリア老舗生地メーカー・ミリオール社のウールベース二重織素材を使用することで、立体感と軽さを両立。

COLOR 08

「冬こそ清涼感」

白とグレーの静けさに寄り添う
ライトグリーンの発色

白とグレーゆえの無機質な心地よさを邪魔しない、涼しげなライトグリーンで色めくレイヤード。冬ゆえに寒々しさを回避したいから、ウールベースのリバー素材で質感からあたたかみを引き寄せて。

Iラインを形成するオールインワンに抑揚をもたらす、ショールカラーのエフォートレスな飾り気。白のタートルネックは、ニュアンスカラーをキリッと見せる差し色としての役割。

COLOR 09

「白の切れ味」

シャープなラインがモードを呼ぶ
完成されたモノトーン

ショート丈のニットベストを、スタンドカラーのシャツドレスにレイヤードした1枚でサマになるコンビドレス。オールブラックの中にニットやシャツ、プリーツをミックスした表情豊かなデザイン。肩から入った白の鋭利なラインが、一見単調な黒に規律をもたらす。

旬なデザインのショート丈ニットとシャツドレスのセットは、それぞれ単体で着まわせるという楽しみも。ニットの鋭いVネックに、スタンドカラーとプリーツをドッキングしたドレスのドラマティックなディテールにも注目を。

COLOR 10

「なつかしさで同調する」

ぬくもりのある暖色を
つなげることで落ち着かせる

様々な暖色を織り込んだあたたかみのあるボーダーニット。その色味に共鳴するかのような、こっくりとしたイエローのパンツを合わせてレトロを堪能。色はなつかしくても、ツヤをともなうパンツやとがったパンプスの効果で現代的なムードを加味。

発色の良さと配色のセンスに定評のあるイタリー糸を使用したニット。特徴的な色が映える削ぎ落とされたデザインゆえ、ベーシックなパンツと相性がいい。

COLOR 11

「意図的にグラデーション」

アーティな配色を味方につけて
甘いピンクをシックに転じる

艶やかなアートをプリントしたロングスカートの赤いグラデーション。情熱的な色味を研ぎ澄ますように、白まじりのイノセントなピンクで色調における静と動を創生。甘いピンクをためらわない手札の1つにも。

これ以上色数を増やしたくないとき、セットアップとして使えるハイネックストールは立体感を出す目的で加えたい1枚。そでを通してボレロのようにも着用可能。

COLOR 12

「セットアップをセルフメイク」

ワントーンだから成り立つ意外性のある上下

見慣れてしまったアイテムを刷新する手段としてセットアップを創生。メンズライクなアノラックフーディに対してレディなドレスという違和感も、色も素材も同じという協調性が統一感をもたらす。

レースアップを施したミリタリーデザインのコートを、ウールのリバー素材で上品かつシックな印象へ昇華。メンズライクな余白にAラインスカートとというゆったりとしたフォルムを、黒のブーツで引き締めて。