Mixhibition

“VISIONEDITION”
Photography_Gori Kuramoto(Pygmy Company) Styling_Keiko Watanabe(KIND)
Hair&Make-up_Nobuyuki Shiozawa(mod’s hair) Model_Katya  Composition&Text_Chiharu Ando

Mixhibition

“VISIONEDITION”

2021 S/S Style Sample

枠にとらわれず、垣根を超えて。服にまつわる「ありがち」に独自の視点を加え、もっと自由な発想で服と向き合うために。3つのテーマで展開する、スタイリングにおけるインスタレーション。

Issue#03

COLOR MATTER

色のイメージを定めない

黒は強い、白は儚い。
そんな固定観念にしばられていては
もったいない。
初めて身につけるあの色も、
一番好きなあの色も。
「思い込み」をリセットすることで、
身につける価値がまた高まる。

Theme 01

「ハイライトを補うように」

光と立体感をもたらす
「コスメ的発想」をヒントに

ナチュラルなツヤが欲しいとき。肌にハイライトをのせる効能を服にも応用。たとえば潤いを含んだようなツヤをまとった、ニュアンスカラーのドレスで。

ジャケットの存在感も相まって、ニュアンスカラーでも膨張しないレイヤード。ドレスは後ろから見るとパンツスタイルに見えるデザイン。その二面性が着こなしの幅も広げてくれる。

Theme 02

「黒にも言える透明感」

かすかに透けた肌も
スタイリングの一部ととらえる

透過性のある質感とたゆたうシルエット。その2つを追求すれば、黒はどこまでも軽くなれる。黒のヴェールと素肌のコントラストによるスパイスも計算のうち。

軽快な黒にさらに躍動感をもたらすバックスタイルの首元に垂れたリボンは、ボタンによって着脱可能。涼やかに更新された黒ブラウスなら、クリーンなパンツとも親しめる。

Theme 03

「モノトーンの主導権は白にある」

季節の移ろいとともに、
黒と白の比率にも変化を

白を主軸にすることで、これからの開放的なシーズンに似合うライトなモノトーンへと変化。グラフィカルなストライプ柄が、「ほぼ白」がベースでも単調に見えない理由。

ランダムに配したストライプのパンツに、バックスタイルに余韻が残る前後差のあるブラウスをセット。効果的な「ズレ」を生かして、無難におさまりがちなモノトーンに新風を。

Theme 04

「春色、という思い込み」

落ち着く中でひねりを効かせる。
ドライな色での高揚感

春だからとって、明るい色とは限らない。カーキとベージュによる落ち着きのある配色だからこそ少しの遊びがあってもいい。まずはアレンジ次第で表情が変わるデザインに着目を。

両サイドのボタンを開けてフロントを結ぶことで、簡単に立体感をのぞめるデザインシャツ。脚のラインを惑わせるように肌が見え隠れすることで、ハーフパンツのハードルも下がる。

Theme 05

「白でも成り立つグラデーション」

素材が変われば色みも変わる。
抑揚のあるALLホワイト

混じり気のないクリアな白と、あたかかみを感じさせるミルキーな白。発色の微差を利用することで平坦さを回避。近寄りがたい印象になりがちなALL白との距離も縮まる。

ワンショルダーのスカートやブラウジングできるシャツなど、シンプル以上の白だから色数をしぼっても主張が残る。少しくすんだシャツのやさしいムードで包み込むようにレイヤード。

Theme 06

「ヴィンテージカラーを創生」

味わい深い色みが交差する
名もなき色をセルフメイク

黒に近い深みのあるブラウンと色落ちデニムが織りなす、味のあるツートーン。タイムレスなデニムブルーの力に頼れば、カジュアルなまま、昔と今を行き来できる。

無骨なデニムに大人びた甘さをもたらしてくれる、ビターなブラウンのブラウスを。キャンディスリーブもラフなデニムを相棒にすることで手に届く存在に。

Theme 07

「キレイな色は共鳴する」

知的なブルーと躍動感のある
イエローの新たな連鎖

シャツの存在感を流すような、動きを感じさせるプリーツパンツとの相互扶助の関係性。思い切った配色でも軽快に見えるのは、イエローは「透けさせている」から。

オーバーサイズのシャツとランダムヘムのプリーツパンツ。配色に加えてシルエットにもインパクトを残すスタイリングを追求すれば、手を加えずとも印象的な立ち姿へと昇華する。

Theme 08

「差し色はあいまいに」

差し色=映える色とは言い切れない。
白の「明度」だけで成立を

淡いグレーとカーキのスモーキーな配色にとって、無造作に肩に掛けた白いニットが唯一のアクセント。発色、というよりも、白本来が持つ明度を利用した効かせ方。

後ろから見るとロングワンピースのようにも見える前後差のあるレングス。ボトムのタイプを選ばない上、サイドから見たときにも印象に残る。

Theme 09

「黒は多彩」

軽く、優雅で、繊細。
黒への思い込みを覆す豊かな表情

止まると縦に流れ、動くとダイナミックに揺れる。そんな透過性のあるプリーツが黒に対する「重厚」という思い込みを取り払う。ツヤめくトップスでさらなる奥行きを。

ソフトなオーガンジーのプリーツだから、ALL黒でもハードに見えず、どこか柔和な表情に。同色の異なる質感のトップスをつなぐことで、ドッキングドレスのようなルックスも手に入る。

Theme 10

「静けさをまとう感覚で」

「黒より前に出ない」ぐらいの
計算された色づきを

色を加えるというより「溶け込ませる」感覚で、オーガンジーのカラーコートをレイヤード。凜とした黒のイメージをくずすことなく、ひかえめなカラーブロックを堪能。

プレーンな黒と見せかけて、ニットビスチェとエコレザーパンツで構成された異素材のスタイリング。質感も色みもどこかひんやりとしたコートは、重ねることでクールダウンを図れる新たな存在に。

Theme 11

「やさしい素材で高発色」

正しさの中に隙もある。
ピュアリネンでドレスアップ

リネンの質感が功を奏し、発色のインパクトをいい意味で抑制してくれる、色みと素材感のいい関係。だからこそ、ジャケットとトップスを重ねてもトゥーマッチにならず、むしろ理想のワントーンを表現できる。

メンズライクなテーラリングが目を引く端正なジャケットは、リネンだから着心地はカーディガンのように軽やか。ラフなボトムを合わせても、適度な緊張感を保てる。

Theme 12

「ソフトにモノトーン」

硬派なバイカラーを
ニットとリネンで緩和

タフな印象になりやすいモノトーンを、素材でゆるめる正攻法。ざっくりとしたニットとリネンのスカートをとり合わせれば、心地よいままシャープな印象も両得できる。

ややスレンダーに仕上げても、やさしい素材によってタイトだけには陥らない。ぬくもりのあるニットとノースリーブからのぞく素肌の対比が、今の時季にちょうどいい。

Theme 13

「赤のためのベージュ」

赤を強く見せないために。
寄り添い上手なベージュを採用

印象的な色だけに、取り扱いに慎重になる赤という存在。深みのあるベージュを添えることで、鮮やかさを際立たせつつ、同時にトーンダウンも図れる結果に。

赤とベージュ。どこか影のある発色を共通させることで、まとまりのあるツートーンに。主張は配色だけで十分。ダブルウエストのディティールだけをワンポイントに。

Theme 14

「白は本来強い色」

余計なもの寄せつけない。
白の潔さを再確認

場合によっては黒以上に強さを発揮する明快な白。その魅力を体感するべく、オールインワンで颯爽と。カジュアルなムードを残してこそ、白の強さがプラスに働く。

ジップやウエストベルトなど、細部にも行き届いたオールインワンなら、スタイリングに凝らずともさまになる。インナーも白で統一し、同系色の中でさりげなく奥行きを意識。

Theme 15

「変わりやすい空のように」

くもった空を連想させる
ブルーグレーを表現

影のあるグレーブラウスとペールブルーによる、明暗をつけがたい配色バランス。ベーシックカラーの延長でキレイな色を楽しみたいときに有効な「曖昧さ」を利用。

かげりのある色でも決して地味にならないのは、絶妙な配色と適度な立体感が備わっているから。強すぎず、ぼやけることもないダークグレーのブラウスは、ときとして黒以上に万能。

Theme 16

「ネイビーは受け止めてくれる色」

色に備わる知性を頼りに
正統派からの脱却を

ネイビー、そして白というゆるぎない知的な配色にこそ、多少のユーモアを求めたい。バックデザインやチェックを配したパンツなど、ささやかな「ハズし」がむしろ好印象。

前から見るとベルトと同じチェック柄、後ろから見るとシンプルなネイビーという、前後で印象が大きく変わるハイウエストパンツ。バックタイを揺らし、トップスにも表情をつけて。