L/Journal
Collaboration Works
Vol.08

Behind the Scenes
of Mixhibition

2023.05.26

“今の気分”と“着る楽しさ”を満喫できる
脱トレンド時代の自由な
着こなしを

この数年、“トレンド服”という言葉があまり意味を持たなくなってきた。誰もが瞬時に情報にリーチできる現代は、発信源も向かう先も特定できない“トレンド風”な服であふれている。
そんなテーマで、このサイト内でシリーズ展開しているのが、スタイリング提案企画であるMixhibition。

コンビニエントなトレンド風の服に代わって、今の時代、ファッションのエッセンスになるのは「どんな着方をするか」という、着る人それぞれのコンセプト。自分の審美眼で服を選び、自分らしいコンセプトでそれを着こなせば、ファッションはもっと自由でワクワクするものになるはず。そしてそこには、“今の気分”が鮮やかに現れる。“今の気分”にぴったりとマッチする着こなしは、その人の美しさと強さを引きだし、軽やかに生きていくパワーを与えてくれる。例えば、一歩踏み出す勇気だったり、ポジティブになれる優しさのような。

Mixhibition は、今の気分を映し出す、コンセプトある着こなしサンプル集だ。
2023年、コロナ禍のトンネルを抜けようとしている今、私たちの心を惹きつけるのは、解放されたマインドと、無駄なものを削ぎ落としつつ鮮度と心地よさと上品さを持った服。hueLe Museumにラインナップしているブランドから、そんな気分にあふれたアイテムをピックアップ、ウィットとセンスと遊びごころをMIIXした着こなしサンプルが毎回企画内にギャラリーのように展示される。着こなすモデルの佇まいや表情、写真から伝わってくる空気の匂いや感情の動きまで含めたプレゼンテーション。そこに息づくコンセプトやストーリーから、誰の真似でもない、新しい自分らしさ発見のヒントが見つかるかもしれない。

hueLe Museum プロデューサー: 土井一寛

2023SSMixhibitionのビジュアル撮影に参加いただいたクリエイターたちへ、ミニインタビュー。 常に“今の気分”の風をキャッチしながらクリエイティブワークに向き合っている3人の言葉には、自分らしいコンセプトづくりのイメージやヒントがいっぱい。

Photographer: Sakai De Jun

- 撮影で楽しいのはどんなとき? 変に手を加えたりはせずありのままを正直に撮ることを心がけております。良い意味でも、悪い意味でもオーガニックなものが好きなので、作り込まずにその場の流れで撮影をしたり、そこにあるものを利用したり。飾り立てなくても、写真には訴えかける強さと力があるし、内面の人間らしいところも写真には宿るので。

- 「自分らしい写真」ってどんなものでしょう? ミスマッチの振り幅が大きい時です。よくわからない例えになるのですが、おじいちゃんが踊るヒップホップダンス、いかついお兄さんがいるメイドカフェみたいな。ギャップを感じるほどテンションがあがります。簡単にいうとツッコミどころ満載でボケ渋滞が起きているみたいな光景が好きです。そんな奇天烈なシチュエーションはなかなかありませんが、クールで笑わなそうなモデルの方がめちゃくちゃ優しかったりするだけでも有頂天になります。また、自分が指示してテンションがあがるように持って行ったりもします。 例えば、モデルに唐突にソーラン節を歌わせてみたり。(笑)

- 影響を受けたアートは? 元々は画家を志して上京してきたのですが、そのときから、迫力・パワー・世界観に圧倒され続けているのは草間彌生さんです。絵画の強さはもちろんなのですが、展覧会の際の作品に対するコメントや「思想」が、混じり気なく素直で正直で真っすぐ。それが胸に刺さり、彼女の作品を見るたびに身体が火照る程にパワーをいただいております。また、写真をやるきっかけとなったのは現代美術家ソフィ・カルの『最後に見たもの』という作品。それに出会って、「写真の力すごい!写真深い!いっぱい勉強したい!」と、のめり込んでいきました。

Hair & Make-up Artist:
Takae Kamikawa

- ヘアメイクのポリシーは?モデルさんそれぞれが持っている個性を活かすこと。

- 作品に及ぼすヘアメイクの力ってどんなもの?スタッフの方たちが目指す世界観の中に、リアルにはまる女性像をつくる事。もちろん、それはヘアメイクの力だけではなく、ひとつの要素だと思っています。

- 影響を受けたアートは? 建築家の、ミース・ファン・デル・ローテの「less is more」の美意識。「少ないもので最大の効果を得るために、あえて最小限の要素に絞り込む」。この建築家の言葉を先輩から聞いて、彼の建築物や家具を調べていた時期がありました。どれもデザインはシンプルなのに、豊かさや存在感があります。今でも、その言葉は忘れられず、影響されています。何かをひとつ足す事で最大の魅力を引き出せるようなヘアメイクができたらいいな、と思っています。

Stylist: Ayano Nakai

- スタイリングでいちばん自分らしさが出るのは? 色合わせや色の選び方かな?

- ワクワクするスタイリングって? 固定概念に捉われていないスタイリング。例えばシャツをスカートとして使用したり、ニットパンツを首に巻いたりといった遊びの効いたスタイリングにとても惹かれます。

- 撮影で楽しいのはどんなとき? 各ジャンルのプロの方々とのコラボレーションで、現場で生まれたアイデアや作り上げてきた世界観が写真という作品の中でカチッとハマった時。

- 影響を受けたアートは? 映画監督のエリック・ロメールの作品に登場する女性キャラたち。そのいでたちや雰囲気、場所と衣装との関連性(インテリアと洋服の色合わせなど)…、何度見てもときめきます。
また、人と会って話すことから吸収する事が普段は多いです。街ゆく人々のスタイリングやスナップ写真から刺激をもらうことも!

Photographer

Sakai de jun

サカイ デ ジュン

1992年、香川県生まれ。2016年、多摩美術大学卒業。GO-SEESを経て、2018年より横浪修氏に師事、現在に至る。

Hair and Make up

上川タカエ(mod's hair)

Takae Kamikawa

モッズ・ヘアのサロンワークを経て、2007年より杉山彰啓氏に師事。2010年に独立し、2011年にmod's hair ヘアメイクチームへ所属。
ファッション雑誌、広告、カタログ等幅広く活動。

Stylist

中井彩乃

Ayano Nakai

三重生まれ。2014年伊藤信子氏に師事。2019年独立。